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『アパートに帰ると、忍者の妹が襲ってきた』




   ≪4≫

 床に転がったまま、楓は歯を食いしばっていた。
(う、腕に力が……くぅ……足まで痺れて……)
 蛙太の忍法と同じ名を冠した歌舞伎の演目のごとく、彼女は床の上で手足をツルリツルリとすべらせている。
 体の自由がまるできかない。そのうえ、だんだんと意識と肉体が切り離されていくかのような、奇妙な感覚だけが満ちていく。心霊学で言うところの幽体離脱に近い状態であろうか。
 そんな彼女の元に、全身に髪をからみつかせたままの兄が近づいてきた。
「し、しっかりしろ、楓。しっかりするんだ」
 すでに痺れ薬の効き目が薄らいでいるのだろう。
 立って歩くことができるほどまで、蛙太は回復しているらしい。
 対して、楓は声を出すのがやっとの状態だ。さきほどまでとは、すっかりと立場を逆転されてしまっていた。
「う……うるさいっ! 寄るな、近づくな!」
 かろうじて手に残った刀を振ろうとする。
 そして同時に、腕に人を斬るほどの力がこもらないことを彼女は理解した。
 あきらかな敗北。
 それも、命を賭けた忍法勝負で負けたとあっては、非情な忍の世界でたどる道はひとつしかない。
「私の負けだ……兄上の好きにするがいい」
 反撃をあきらめた楓は、ふと視線を蛙太からそらす。
(これで、いいのだ……里の者に兄上が討たれるくらいなら、いっそ我が手で……そんなことを考えた私が、あさはかだったのだろうな……)
 本心を語れば、兄を討ちたくなどなかった。
 おそらく自分を蛙太の元にさしむけた父の狙いは、楓に家督を奪取させることだったのだろう。
 次期頭首に座すことが決まっていた兄を楓が討てば、これは家中の誰もが納得せざるを得ない。妹が相手であれば、蛙太も油断をするか、手心を加えるに違いなかろう。そんな目算もあったかのかもしれない。
 だがしかし、結果はご覧のとおり。
 意図せずとはいえ、忍法勝負に勝った蛙太であったが、そのことに喜んでいる様子はなかった。
「勝ちだの負けだの、そんなことを言っている場合ではない」
「敗れた忍びに、情けなど無用!」
 楓はすでに観念しきって、頭の中に遠い日の思い出を蘇らせる。
 川辺でよく座り込んでいる蛙太の横に並んで、二人は他愛ものない話ばかりをよくしていたものだ。
『ガマにーたん! ガマにーたんはカエルの仲間で、いつか川に帰るって本当なの?』
『ははは。誰からそのようなことを聞いたのだ。いくら俺の顔がカエルにそっくりだからといって、そのようなことはない』
『よかったぁ……ガマにーたん、どこにも行かないでね。ずっと、楓のおそばにいてね。約束だよ……』
『ずっと楓のそばにいるとも。約束するさ』
 幼い頃の彼女は、そんなくだらない質問を何度もしては、兄の気をひくことに一生懸命だった。
(兄上に討たれるのなら……兄上だったら……兄上になら、殺されても構わない……)
 無情な忍びの間柄であった両親とは異なり、楓に愛情を注いでくれたただ一人の肉親。
 それが兄である蛙太の存在であった。
 そんな相手を殺せるはずがなかった。あるいは、その真心に触れたときから負けていたのかもしれない。
 蛙太が手をこまねいている様子を察して、楓はみずからその命を断つべく、刃を握る手に最後の力をこめた。
「さあ……兄上がしないと言うのなら、私がみずからの手で……」
「よせ! はやまるな!」
 致命の刃先が喉首を今まさに貫こうとした瞬間。
「……はい。兄上のおっしゃるとおりにいたします」
 楓は従順な人形のように答えると、刀を床の上に転がした。
(な、なんだ……これは!? 私の体はどうなってしまったのだ……)
 心と体が切り離されたかのような状態に拍車がかかり、ますます度合いが深まったようだ。
 そればかりではなく、今や彼女の肉体は完全にその意思に背いている。あろうことか、己の脳が放つ命令よりも、兄の発した言葉に従ったのだ。
 楓が刀を捨てたことで、ひとまず安心したのか蛙太の大きなガマ口からふうと息を吐き出された。
「う、うむ。それでよい」
「兄上ぇ……楓は兄上のご命令どおりにいたしました」
「……そうだな。そ、その通りだ」
「ですから、楓は……ご褒美がほしいですぅ」
 媚びた口調になった楓は、甘えるみたいに兄の下半身にすがりつく。
(なっ……何をしているのだ、私は!? か、体の自由が……)
 あられもない自分の姿を認識して、彼女はそれをやめさせようとする。
 ところが、いくら念じてみても肉体は従う様子もなく、勝手気ままに動き出す。
 瞳が潤んで、艶の浮かぶ朱唇から熱っぽい息がこぼれた。そのうえはしたないことに、兄のズボンの上から局部に頬ずりまでし始める。
 あからさまに物欲しげな仕草を繰り出しつつ、またもや口が勝手にしゃべりだした。
「兄上……楓は兄上のおっしゃることなら、どんなことでも従いますゆえ……」
「ま……まま、待て。待つのだ……」
「兄上のここ……すごく、固くなっておりまする……」
 動揺する蛙太が逃げようとすると、全身に絡んだ黒髪が動きを封じる。
 これはおそらく副次的な作用で、彼女の忍法が身体の属性に依存するものであったからかもしれない。それゆえに、蛙太の忍法の支配力が及んでしまったのだろう。
 そうして相手の自由を奪っておいて、楓は兄の股間をさすり続ける。すると当然、ズボンの中で牡の象徴が見る間に隆起していった。
(ななな……はしたないですぞっ、兄上! こんなに固くなさって……わ、私もはしたないっ……こんな……こんなことをしていたら、兄上に嫌われてしまう……)
 己をなじる心とは裏腹に、彼女の体はさらなる行為に及んだ。
 チャックを噛んでゆっくりと社会の窓を開かせると、ズボンの中身を手でさぐる。
 楓が手を引くと、蛙太の男性器が飛び出てきた。いかつい陰茎は赤黒く、紫檀の照りを帯びている。そのうえ太い茎肉の表面には、カエルの肌とそっくりのイボがみっしりとひしめく。貧相な醜男の持ち物としては、不釣合なほど堂々と反り返っている逸物ぶりだ。
 ある種の森厳さをそなえた兄の怒張に、楓は感嘆の息をもらした。
「なんと見事な……兄上、とても立派でございます」
 しきりに褒め称えながら、爆ぜそうなほど膨らんだ先端部にキスをする。
 蛙太の体は驚きのあまりビクンと引き攣った。
「おっ、おぅ……い、いかん! やめるのだ、楓」
「んっ……はぷ、んぐ、んっく……」
 兄の足元に跪いた愛妹の唇が、充血した亀頭にかぶる。
 しっとりと濡れた口内の粘膜に包まれると、血管の浮いた肉幹がわななく。巨大な怒張が唾液のぬめりに覆われ、持ち主の牡欲を刺激したらしい。
 妹からの口唇愛撫。禁断の快楽を味わう蛙太は、理性を奮い立たせて楓を止めようとした。
「これ、ならぬ。我らは兄妹で……ムググ」
 体に巻きつく黒髪が、たちまち手足の動くを封じ、口さえも塞ぐ。
 楓は兄の体から自由を奪いのけ、艶然と微笑んだ。
「すべて楓にお任せ下さいな。兄上」
 そう言って、彼女は舌での奉仕を行う。
 舌先をひらめかせ、兄の牡棒に唾液を塗りたくる。最初は先端部を重点的に舐めなぞり、海綿体をじっくりと膨らませていく。穂先はたちまち充血し、まるで質量を増大させたかのようにどっしりと重みを増す。
 そうしておいてから、楓はおもむろに盛り上がったカリ山に朱唇をかぶせた。
「はぷ、んっ、んぅ……ん、んっ」
 肉幹よりも太さのある亀頭が粘液にまみれ、淫靡な艶を浮かせる。
 妹の一方的な舌愛撫に快感を引き出され、蛙太の口から『ウッ……』と短い呻きがこぼれた。
「兄上……こんなになさって……気持ちいいですか?」
 そんな兄の反応を楽しむように、丹念にねっちりと弓のように撓った屹立をねぶり回す。
 口にふくんだいきり勃つ怒張。兄の敏感な亀頭冠を唇でなぞり込み、時には軽く歯を立てる。艷めく朱唇が粘膜の上を何度もなぞるうちに、尿口のあたりから粘つく前戯汁が滲み出てきた。
「はぷ、んぶ……ング、んぅ、んっ、ん……」
 楓は兄のカウパー汁を舌で掬いとるように舐め、口の中で転がし、苦味をじっくりと味わう。
(これが、兄上の……ああ! なぜ私はこんな淫らなことを……いやこれは兄上のせいで……兄上が気持ちよくなさっているから……私まで……こんな、に……)
 淫靡な行為を愉しむ肉体とは裏腹に、心の中で悲鳴があがる。
 そんな彼女の意思を踏みにじるように、体が勝手に動き出す。
 舌先を伸ばし、ピチャピチャと音をたてて張り出した鈴口を舐める。そうしてまた、舌でカウパー氏腺液を掬い取り、口の中で唾液とからめてから喉を鳴らして飲み下す。牡雌の体液が混ざり合った雫を一口味わうごとに彼女の頬が赤味を濃くして、まるで酔いを深めていくかのようにも見える。
 そんな妹の艶かしい仕草に、蛙太は思わず生唾を飲んだ。
「……か、楓。こんなことをしてはならん」
「別のやり方がよろしいのですね」
「ち、違う……うぉ」
 蛙太を捕らえている髪がしゅるりと黒い太幹に巻きつく。
「私の髪ではいかが……兄上のお気に召すとよろしいが」
 楓の黒髪はさながら意思あるもののごとく、強張った肉竿をシゴきだした。
 忍法によって操られる毛髪のうねりが、漲る怒張をますますいきり勃たせる。柔らかく梳かれた髪質の感触がよほど心地よいのだろうか。蛙太は首を仰け反らせ、強い快感を訴えてきた。
 快楽に浸されていく兄を見ていると、なぜか彼女自身も胸の動悸がはずむ。
 すると、腰を中心に滾る熱気が全身のいたるところまでジワッと広がっていく。これでは、まるで二人の快感を得る神経がひとつながりになってしまったかのようだ。
(どうして……体が熱くなって……いいえ。これはきっと兄上の忍法のせいだから……だから……いやらしい気持ちになっても……し、仕方のないことなのだ! 私のせいじゃないから……)
 楓は不思議な感覚に戸惑いながらも、それを受け入れていた。否、肉体が拒まなかったがために、精神のほうでも受け入れざるを得なかったというほうが正しいか。
「兄上を見ているだけで、楓も体が熱くなってしまいます」
「うぐぐ……おおぅ」
「我慢なさらないでくださいまし。兄上」
 膝立ちになった彼女は、髪のひと房を摘みあげた。
 楓はいたずら好きな猫のように腕をさしのべて、毛先で膨張しきった先端を弄ぶ。そうして亀頭の割れ目に刺激を加えつつ、忍法で操る黒髪で太茎をさすり上げる。
 手以上に絡みつく優美な髪。カリのくびれまでシゴき抜く繊細な動きは、手淫ならぬ髪淫とでも言うべきか。二十一世紀では一般に髪コキと称されながらも、常人にはなしえない自涜の手段であった。
 忍びの者同士だけが味わえる魔悦に、蛙太の陰茎は硬度をますます増していく。
「髪の中で果ててもよろしいのですよ」
「おっ、おおぅ」
「たくさん出してくださいまし……楓の髪に、いっぱい出して……」
 蛙太は唇を噛んで、妹の誘惑によって生じる恍惚を追いやろうとした。
「これ以上は……これ以上は、いかん!」
「髪では物足りないですのね」
 兄の忍耐を催促にすり替えると、楓は忍び装束の胸元に手を伸ばす。
 そのまま胸を前につき出すようにして、衿を一気に押し広げる。
 プルン、と派手な大揺れをかもしながら、豊満きわまりない乳房がまろび出てきた。完璧な球体を二分割に両断したかのような、優美な半球。現代的にサイズで言えばEからFカップほどもあろうか。
 艶麗な肉球を椀型として見た底の部分には、桜色の乳輪が期待にプックリと盛り上がりかけていた。さらに中心では、小指の先ほどの突起物がかすかにヒクつく。
 幼き日には水遊びで妹の裸身を目にしたこともあったかもしれない。けれど、この豊満さはそんな淡い思い出をたやすく押し潰してしまいそうなまでに、生々しい肉感に満ち溢れている。
 蛙太にとっては目の毒すぎる、たわわな柔乳がグイと押しつけられた。
「それでは、これでいかがでしょう……兄上」
 楓は充分に発育しきった乳房の谷間に、いきり勃つ茎肉を挟み込む。
「かっ、かか……楓!」
「兄上。楓はよく育っております。兄上の体でお確かめになって……」
 たしかに彼女の言葉どおり、蕩けそうな乳肉がぴっちりと絡みつくさまは、充分すぎるくらいの発育ぶりと言えよう。
 さらに楓は量感あふるる胸乳を揉み捏ねる。すると、柔軟に形を変える乳肉が、裏筋を盛り上がらせた茎根から張りつめている亀頭にまで擦りつく。美麗な乳塊が、まるで火照った肉棒にむしゃぶりつくかのようですらあった。
 一心不乱になって、量感抜群の乳球で兄の陰茎をシゴく妹。
「私……楓は兄上に、んっ……ご奉仕……したくて、あぅ」
「いいい……いかん! よせっ、おおおぅ……」
「そう思い続けていたせいで……くぅ、いつのまにか……胸ばかり育ってしまいました……ふぁ」
 楓の敏感な乳肌が、ざらついた茎肌に擦れる。
(兄上のモノと胸が擦れて……ジンジンしてきちゃう……)
 早まる呼吸を感じながら、兄と密着する感触に酔う。
 柔らかい肉乳から甘い痺れが広がっていく。その快感に浸っていると、ますます気が急いて手に力がこもり、柔肉を揉み潰すほどになる。
 すると極上の軟乳がいっそう吸いついて、蛇頭のごとく鎌首もたげる怒張が音をたてて軋む。
 ところがそんな状態であっても、まだ精が放たれる兆しはない。
 楓は舌先をはみ出させ、ペロリと唇を舐めた。
「まだ足りないのなら……これで、んふぅ……どうでしょうか、んぅ、んんっ……」
 獲物を狙う女豹のごときまなざしを兄に向け、太い茎肉を握る。
 彼女はヒクつく牡竿を導き、その穂先を隆起した乳首を押しつけた。
 コリコリと押し返してくる乳頭の痼。扇情的な感触で牡肉を愉しませつつ、楓自身も乳突起を刺激し、甘美を味わう。
(私の胸が……こんなに……こんな淫らなことになってしまうなんて……)
 いまや乳首の勃起ぶりは、爆ぜそうなほどの充血ぶりに達している。
 乳の先端から生じる熱い疼きは収まらない。ニップルはぷっくりと膨らみ、勃っている乳頭が痛痒いほどとがっていた。なおかつ量感あふるる乳肉そのものの張りも増し、なめらかな乳肌が淫靡な赤味を帯びる。
 胸乳で卑猥な行為にふける悦びを知ってしまうと、少女の若く健康的な肢体がしきりに快楽を求め出した。
「兄上……胸以外でも、兄上を感じさせてください……」
「それはいかん! いっ、いかんのだ……うおおう」
「ですが、私も……ほしくたまりませぬ……ん、んぅ、んっ」
 量感あふるるバストの谷間にゴツい逸物をたばさんで、ふたたびシゴき出す楓。
 そして、摩擦を加えるだけでは飽き足らず、今度は尺八を吹き鳴らすかのように膨らんだ穂先に口づけた。
(こんな忍術、まだ教わってないのに……体が勝手に動いちゃう……)
 美麗な肢体を使って牡を悦ばせる。
 今まで一度たりとも、そんな淫らな行為にふけったことはない。くノ一であれば常識とも言える、性技で男を籠絡する房中術の存在は知っていても、一度たりとも実践などしたことがない生娘の楓であった。
 そうであるはずなのに、彼女は次から次に淫らな手段を繰り出し、兄の性器に奉仕している。
 今、楓の肉体は、細胞のひとつひとつにいたるまで、あますところなく兄の忍法の支配下にあった。それゆえに最初は抗おうとしていた心も、もはや疑問を抱くことさえできなくなっている。
 彼女は谷間に挟んだ牡肉の先端を舐め回し、溢れ出てくる前戯汁を啜った。
「んぶ、んふ……ング、んっく、ぇう、ん……んー……」
 ガマン汁を吸い出され、射精欲を煽られた男根がブルブルと震える。快楽の拷問をこらえている蛙太の忍耐力は、驚嘆すべき域に達していた。
 そしてまた、奇妙な現象が起きている。
 一方的に相手の快感を煽っているだけであるはずであった楓の肉体に、性感の疼きが広がっていた。
(兄上にご奉仕するだけで……どうして……体が、どんどん熱くなっていく……)
 腰のあたりをじんわりと熱くさせる熱気が、次第に拡散し、指の先頭の先にまで及んでいく。
 優美な肢体は火照りに包まれ、赤く染まった肌の上に汗が流れ落ちる。
 美しい少女の肉体が、ますますもって艶麗さを帯びて、兄の欲情をかきたてようとしていた。
「んっく、んぐ、ん……兄上ぇ……お出しになって……んぅ」
 尿口からカウパーを吸い出しつつ、楓は左右から手で柔らかい乳肉をくびり出す。
 まろやかな乳圧がかかり、太ましい肉棒が痙攣する。
 濃厚な我慢汁がドロドロと溢れ出るが、肝心の精液は迸ることがなかった。かなりの精神力をもってこらえなければ、こうはならない。
 射精抑止筋群を意図して操るなど、男にとっては健康を害しかねないだけの危険な行為だ。それほどまでの忍耐を行使する理由はひとつしかなかった。
 蛙太はみずからの汚汁で妹を汚したくないのだろう。
 男の生理など知る由もない生娘の楓であっても、見ているだけでそのことは理解できる。それほどの我慢強さであった。
「出そうですか……兄上。こらえなくとも良いのですから……」
「ならぬならぬならぬ……それだけはならぬ……グググ……」
「はぶ、ん、んちゅ……楓の口でも、胸でも、顔でも……兄上のお好きなところに放って良いのですよ……ん、んぅ、ぇぐ、ん……」
 楓は淫らにねだりつつ、豊満な乳塊を捏ねるように揉み込む。
 射精を促す、媚びた上目。懸命にこらえようとする兄の気持ちとは反対に、忍法によって性奴と化した妹は技巧のかぎりを尽くして、精液を放たせようとする。
(こんなに我慢している兄上を見ていると、楓は……楓はせつなくなってしまいます……)
 そんな妹のひたむきな気持ちが通じたか、エラの張った牡器が先端をムワっと膨らませた。
 兄の欲棒が放精の兆候を示す。どうやら爆発寸前であるらしい。
 舌で先端に刺激を加えつつ、楓はダメ押しとばかりに大きくせり出した乳房を捏ね回す。
「ん、んぶ、んっぐ、んぇ……んふ、んっ、んぅっ……」
 いきり勃つ牡肉の膨張ぶりが最高潮に達する。
 すると、まるで兄の快感と連動するかのように、少女の子宮に熱が広がっていった。今までろくに弄ってすらいない膣にまで、トロトロと蜜液が溢れていく。
 性交でしか得られないはずの一体感を得ると、楓の視界にまっ白な輝きが広がる。
 そして同時に、兄の爆発物も今まさに果てようとしていた。
「あ、ああっ……いかん! いかん、これは……で、出るっ!」
「私も……兄上。私も、な……何かきちゃう!!」
 おそらく忍法の効果であることは間違いない。
 まごうことなき女であるはずの楓が兄の快楽を受信し、腰の奥から湧き出る灼熱を体感する。そうして相手の快感に影響されながら、その産物である白濁液を美貌に浴びせられた。
 ドビュウッ!! びゅぼびゅびゅびゅっ……ビュグッ!
 爆発的な射精感がダイレクトに脳髄まで押し寄せ、少女の肢体が恍惚に震える。
 あえて名づけるならば、擬似絶頂とでも言うべき現象だろうか。
 無垢で清純きわりない生娘の肉体。そんな体の持ち主である楓が男女両性の快楽に見舞われ、至極の快美に溺れる。忍法によってのみ得られる異常な快楽に侵食されたと言ってもいい。
 あまりに強すぎる肉の悦びによって、美肢体が糸の切れた人形のように倒れ込む。
(兄上の感じている快楽が……これが、男の人の快感なの……こんな、すごいものだなんて……)
 楓は頭の中で悦楽のひとときを反芻しながら、処女では味わえない肉悦に目覚めていた。
「はぁ、はぁ、はぐ……はふ、ふぅ、ふぁ……」
 床に寝そべり脱力しきったまま息を荒くする。
 擬似的なものとはいえ、ひとたび女の悦びを知ってしまうと、もはや肉体の暴走ぶりは歯止めがきかない。
 なんたることか、今ではその体のみならず、心の底から肉欲を沸き上がらせている。
(こんな……すごい、もっと……もっと兄上に、気持ちよくなってもらわなくては……そうすれば、私も……どんどん気持ちよくなれるはず……)
 忍びの者として、元より強かった彼女の使命感。その強い意思が、若い肉体の持ち合わせている旺盛な性欲と結びつくのはたやすい。
 もはや楓は、すっかりと忍法の虜になっていた。




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